人の一生は重荷を負て遠き道をゆくがごとし、いそぐべからず、不自由を常とおもへば不足なし、こゝろに望おこらば、困窮したる時を思ひ出すべし、堪忍は無事長久の基、いかりは敵とおもへ、勝事ばかり知りて、まくる事をしらざれば、害其身にいたる、おのれを責て、人をせむるな、及ざるは過たるよりまされり。
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【解説】この徳川家康の「遺訓」は、「東照公御遺訓(とうしょうこうごいくん)」として伝えられています、ただし、これが徳川家康本人が記したものであるかどうかは定かではないようです。家康のそばに仕えていた家臣の誰かが家康の死後、かつて家康が語っていた教訓を思い出しながらその要点をまとめたものではないかという説もあります。いずれにしても、厳しい世の中を生き抜くための心構えを説いたこの遺訓は、およそ400年の歳月を隔てた現代社会にも通じる人生訓であると言えるのではないでしょうか。
(浜山典之)
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