誰もが実践「無財の七施」
上の題名に書かれている「七施(しちせ)」とは「七種類の布施」という意味です。「布施」は、英語の donation(寄贈、寄付、寄進、贈与)と語源を同じくするサンスクリット語の dāna を翻訳した言葉で、ふつう「布施」には、財施、法施、無畏施(むいせ)の三種類があります。それとは別に、「無財の七施」はお金や物がなくても、あるいは特別な知識や技能がなくても実践できる布施のことを言います。具体的には次の七つをさします。
1.
眼施
(がんせ)
── やさしいまなざしで人に接すること。
2.
和顔施
(わがんせ)
または、
和顔悦色施
(わがんえつじきせ)
── にこやかな顔、おだやかな顔で人に接すること。
3.
愛語施
(あいごせ)
または、
言辞施
(ごんじせ)
── やさしく、思いやりのこもった言葉づかいをすること。
4.
身施
(しんせ)
── 自分の身体を使って人のために奉仕すること。
5.
心施
(しんせ)
── 人のために心を配り、ともに喜び、ともに悲しむこと。
6.
床座施
(しょうざせ)
── 席や場所を譲ること。これには自分の地位を譲ること
も含まれます。
7.
房舎施
(ぼうしゃせ)
── 雨風をしのげるよう人を家に泊めてあげたり、休息の
場を提供したりすること。来客に対する温かいおもて
なしもその一つで、四国でお遍路さんをもてなす「お
接待」などが例として挙げられます。
これらの「七施」を日常生活のなかで実践することは、そのまま菩薩行(ぼさつぎょう=利他の行い)になります。みんなでこれらの「七施」を実践し合えば、世の中は素晴らしく住みやすいところとなるでしょう。
(解説/浜山典之)
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