街の風物だより
浜山典之
 

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冬の月
   2024/12/11 (水) 17:51 by 浜山典之 No.20241211175107

 広い通りで行われていた道路工事の騒音を避け、路地に足を踏み入れた午後3時半ごろ、ふと見上げると雲一つない薄水色の空高く半月がかかっていました。まだ空が明るいこの時刻にもう月が出ているのかと思いつつ、しばらく眺めながら歩きました。それは繊細な輪郭と模様をもち、あたかも半透明のように見える半月で、極薄のフィルムのように軽々と空に浮かんでいました。

 【一句】 寒空に半月仰ぐ日暮れ前


秋晴れ
   2024/11/4 (月) 16:23 by 浜山典之 No.20241104162338

 今日は南風がやや強く吹いて日中の最高気温が23度まで上がりましたが、空気はほどほどにカラッとしていて、過ごしやすい一日でした。商業施設前の舗装道路には、街路樹から舞い散った枯葉があちこちに積もったり転がったりして、すでに晩秋の雰囲気です。ところが、今年の夏が長引いたせいか、樹々の紅葉はまだそれほど進んでいません。それでも、日差しの色はもうすっかり薄くなって、冬が近づきつつあるのを感じさせます。

 【一句】 やわらかな日差しの道や天高し


5月の新緑
   2023/5/11 (木) 18:32 by 浜山典之 No.20230511183208

 午前10時半過ぎの市内の道路を走るバス。その車窓から外の景色を眺めていると、5月初旬の明るい日差しを浴びて新緑に輝く街路樹が目に入りました。風も穏やかで、街全体が繊細で鮮明な輪郭をあらわし、透明感のある軽やかな色彩を帯びていました。

 【一句】 目に染みる春たけなわの街の色


黄砂の飛来
   2023/4/14 (金) 18:16 by 浜山典之 No.20230414181649

 一昨日から今日にかけて、中国大陸から2年ぶりに黄砂が日本列島に大量に飛来したとのこと。テレビの気象情報が、そう伝えていました。しかし、私が住む南関東の平野部では、視界を遮るほどの密度で黄砂が飛んできたわけではありません。だから、その様子はほとんど知覚できませんでした。ただ、自宅の自転車のサドルの上には、一面にうっすらと黄土色の粉のような微粒子が付着していました。それを見て、これが中国大陸からはるばる海を越えてやってきた黄砂なのか、と思いました。

 【一句】 黄砂来てサドルの上は薄化粧


小春日和
   2022/11/12 (土) 18:33 by 浜山典之 No.20221112183324

 日本列島は東西からの高気圧に覆われて青空が広がり、また南の方からは暖気が北上してきたため、日中の最高気温が平年よりも3度以上も高い暖かい日が3日連続となりました。今はちょうど陰暦の10月にあたる「小春」の時期で、この間の暖かい気候を「小春日和(こはるびより)」と言いますが、まさにこの言葉にふさわしいうららかな日和に恵まれました。

 【一句】 今日もまた小春日和の秋津島


秋の虫
   2022/9/26 (月) 18:08 by 浜山典之 No.20220926180851

 このごろは夜になると秋の虫たちが涼しげにすだくのが、窓の外から聞こえてきます。日中の気温はまだ30度近くまで上がることがありますが、日の暮れるのはずいぶん早くなりました。日が沈んだ後は気温がぐんと下がるため、熱帯夜の寝苦しさからは解放されました。

 【一句】 涼しさを届けに来たり虫の声


初雪
   2022/1/6 (木) 17:56 by 浜山典之 No.20220106175645

 昼過ぎにガラス戸越しに外を眺めると、空から細かい雪がひっきりなしに落ちて、庭の草木の上に積もり始めていました。今日の最高気温は3度。昨日と比べてなんと6度も低く、身にしみる寒さでした。それでも、ふんわりと降り積もった白雪のやわらかな景色は、何となく心に温かく感じられるものでした。

 【一句】 昼下がり小さき庭に粉雪降る


落ち葉の季節
   2021/11/21 (日) 13:28 by 浜山典之 No.20211121132821

 近頃、昼間の時間がだいぶ短くなってきたのを感じます。それもそのはず、もう11月下旬ですから。近所にあるショッピングセンターの周辺では、街路樹から落ちたおびただしい数の枯れ葉が時折強く吹く冷たい北風にあおられて、アスファルトの車道や石畳の歩道の上をカサカサと乾いた音を立てながら飛び跳ねるように転がっていました。

 【一句】 風吹けばさびしさ奏でる落ち葉かな


秋の夕暮れ
   2021/10/19 (火) 18:52 by 浜山典之 No.20211019185227

 つい1週間余り前には日中の最高気温が28度を超える夏のような暑さがまだ残っていたというのに、どうしたことか昨日も今日もそれを10度も下回るような肌寒い一日となりました。まるで一気に夏から晩秋へとなだれ込んだような感じがします。とりわけ今日は朝から日差しがなく、時折小雨がぱらつく空模様だったので、街全体が秋の寂しさにすっぽりと覆われたような印象です。

 【一句】 いつの間に忍び寄ったか今日の秋


台風一過
   2021/10/2 (土) 17:58 by 浜山典之 No.20211002175820

 強い勢力を維持したまま日本列島の東の海上を北上していた大型の台風16号は、昨日のうちに関東の沖合を通り過ぎて北東方向に進み、今日は朝から晴れの天気になりました。台風16号を中心にした反時計回りの北風は収まりましたが、そのかわり昨日のやや肌寒い感じとは打って変わって急激に気温が上がり、日中は汗ばむほどになりました。それでも夕暮れが近づいてくると、この時期らしく日の光にどことなく寂しさが漂い始めています。

 【一句】 また一つ台風去りて猫散歩


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浜山典之(はまやま・のりゆき)『街の風物だより』
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